推薦者:館林優一朗
『綿の国星(わたのくにほし)
作者:大島弓子
花とゆめコミックス・・・全7巻 白泉社文庫・・・・・・全4巻
劇場版アニメ音楽集CD(リチャード・クレイダーマン、谷山浩子他)
劇場版アニメビデオ(出演:冨永みーな他)

★連載時期
1978〜1987年 月刊『LaLa』連載。 大島弓子はこの作品で第3回講談社漫画賞を受賞。
劇場版アニメは1984年公開。

★主な内容
とある雨の日、寒さと飢えに震えていた仔猫が心やさしい予備校生、時夫(トキオ)に拾われ、
須和野(スワノ)家の一員『須和野チビ猫』となる。
チビ猫はいずれ人間になれると信じていて、人間界とネコの世界というパラレルワールドの狭間で悪戦苦闘しながら成長していく。

★見所
エプロンドレス姿で擬人化されているチビ猫はとてもカワイイ!
大島作品独特の線の細さ、低い視点(ネコの視線?)で描かれた背景なども特徴的。
須和野チビ猫が、人間の持つ価値観やネコから見たら不思議と思える人間の行動パターンや慣習などを
他のネコたちにわかりやすく伝える伝道師的役割を果たしていく姿などは、健気でひたむき。

★推薦者感想
まず驚嘆するのが、この作品から感じるリアリティ。
勿論、ネコの世界を実際に体験した人間などいるはずがないのだが、
大島弓子の前世はネコだったのではないか?と思えるほど、ネコの世界や価値観がリアル(?)に描かれている。
初めて外に出てチビ猫と猫と出会ったマンション猫キャラウェイ、チビ猫にネコの世界のしきたりを教えるヨーデル猫、
須和野家の飼い猫の座をチビ猫から奪おうとする点茶、チビ猫と見た目そっくりだがノラ猫のシャンなど、
次々と登場するネコたちも実に特徴的で、それぞれの境遇に合わせた価値観を持っているので、
ネコの個性というのは姿形だけではなく、人間と同じように様々な側面があるのだなぁと思わせてくれた。
そして、この作品の主人公であり『語り部』でもあるチビ猫が話す言葉(歌)の美しさは、
もはや漫画という枠を越えて、文学作品として読めるのではないかと思うほど素晴らしい。
パラパラパイ ポロポロパイ こぼれたパイ ふんでくすくす ふんでくすくすあしのうら♪

★入手難易度
花とゆめコミックスは全く見かけません。おそらく入手はかなり困難でしょう。
白泉社文庫のほうはBook Offなどでたまに見かけます。
推薦者が所有しているのも文庫版(全4巻)のほうです。
CD、ビデオも入手はかなり困難と思われます。というか、DVD発売激しく希望!

★推薦者一言
とにかくちょっとでもネコ属性を持つ人は、ぜひ読むべし!
できれば秋の晴れた午後、BGMは谷山浩子、場所は井の頭公園で!

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